裁判所からの呼び出し(6400分の１)

ある日、裁判所から葉書なり封書が届く。 「呼び出し状」とあるのをみて、たいていの人はギクリとするだろう。 たぶん、こんな文面だ。 　 「○○事件の裁判員に選ばれました。○日に裁判所までお越し下さい」 ◆法務省の畑野隆二・裁判員制度啓発推進室長によると、兵庫県で「呼び出し状」が来る確率は六千四百人に一人だそうだ。 全国平均の四千七百三十人に一人と比べて、かなり低い。 　 ただし、これは昨年の凶悪事件の発生数が少なかったからで、今後もそうだというわけではない ◆懸命の啓発活動もあって、裁判員制度は国民の間で認知度は上がってきた。 今年六月の世論調査でも54%が制度を「知っている」と答えている。 しかし、「自分が選ばれたら」となると、途端に75%が「やりたくない」という ◆理由は、ほぼ四つに絞られる。 「自信がない」 「仕事に影響が出る」 「逆恨みのおそれがある」 「悲惨な事件にかかわりたくない」。 市民の健全な良識を反映し、「開かれた司法」にするという制度の意義は理解されつつあるが、まだまだ壁は厚いということだろう ◆子育て中の人のために、裁判所に託児所を設けたらどうか。 勤め人が引き受けやすいように、有給の特別休暇を与えるべきだ。 仕返し防止策として、裁判官と同じ法服を着るのはどうだろう・・ ◆いろいろな提案がある。画期的な制度を生かすため、検討してほしい。 スタートまで三年足らず。「呼び出し状」を受け取った市民が、「招待状」と思えるぐらいの環境整備を急ぎたい。 　 2006年９月19日　神戸新聞朝刊１頁 「ゼロからお金を貯めよう(HOME)」に戻る 「人気blogランキング」に戻る